column( コラム )
供給過多の民泊市場──訪日客の増加はカバーできるのか?

2025年、日本の民泊市場は急速に拡大を続けています。コロナ禍を乗り越え、観光需要が回復したことを受けて、新たに民泊事業に参入する事業者や個人オーナーが増加。これにより、全国での民泊供給数は急増しました。しかし、この供給増が果たしてインバウンド需要と均衡が取れているのか、あるいは将来的な供給過剰のリスクを孕んでいるのか。本コラムでは最新の統計データをもとに、民泊市場の現状と今後の課題について掘り下げて考察します。
民泊物件の増加スピードは加速している
観光庁によると、2025年3月時点で住宅宿泊事業(いわゆる民泊)の稼働中の届出住宅数は30,318件。これは前年比で約7,000件、率にして40%の増加です。Airbnbなどのプラットフォームで確認されている国内ユニット数も10万件を突破し、記録的な水準となっています。
背景には、地方自治体による空き家活用の推進、補助金制度の充実、そして訪日需要の回復期待があります。特に都市部では利便性の高いエリアに多くの新規物件が集中しており、競争が激化しています。一方で、地方都市や観光地でも独自の魅力を打ち出した民泊の新規参入が増えつつあります。
訪日外国人の需要は本当に増えているのか?
2025年4月の訪日外国人客数は3,908,900人と、前年同月比28.5%増を記録し、単月として過去最高を更新しました。1月から3月までの累計でも、過去最速で1,000万人を突破しており、2025年の年間目標である3,300万人超えも射程圏内に入っています。
さらに、1~3月期の訪日外国人旅行消費額は2兆2,720億円と、こちらも前年同期比で28.4%増。国別では中国からの旅行者が最も高いシェア(24.0%)を占めており、今後も増加が見込まれます。
しかし、注意すべきは「どこで消費されているか」という点です。インバウンド需要の多くは東京・大阪・京都といった都市部に集中しており、地方部への分散は進んでいません。地方における訪日外国人の平均宿泊数は依然として1.36泊にとどまり、目標の2泊以上には届いていません。宿泊施設のキャパシティに余裕があっても、実際には稼働率が上がらないケースが目立ちます。
民泊市場の現在地──バランスは崩れているのか?
都市部では明らかに供給過剰の兆候が見られます。競争の激化により、レビュー獲得や価格競争が激しくなり、稼働率が低下している物件も少なくありません。インバウンド需要が増えているとはいえ、それを上回るペースで物件が増加すれば、稼働率が下がり、収益性を圧迫するのは避けられません。
また、地方では「物件はあるのに予約が入らない」状況が起きています。これは需要予測やターゲット設定が甘いまま施設が作られているケースや、そもそも外国人に認知されていないというマーケティング上の問題が原因です。結果として、地方の民泊は都市部以上に“見られない・選ばれない”リスクにさらされています。
民泊運営者に求められる視点と対応策
供給過多の時代に突入した今、民泊運営者には以下のような視点が求められます:
1. 需要データを活用したエリア選定と価格設計
地域別・月別のインバウンド動向、国別訪問者の消費傾向、航空便の発着状況など、多角的なデータに基づいて物件の取得や価格戦略を見直す必要があります。
2. 施設の差別化とブランディング
「どこにでもある宿」ではなく、「この施設に泊まりたい」と思わせる明確な売りが重要です。デザイン性、体験コンテンツ、ホスピタリティの向上が鍵となります。
3. 運営のプロフェッショナル化
価格調整、レビュー対応、広告運用、清掃品質管理など、民泊運営には高い専門性が求められます。経験豊富な管理会社との連携が、今後ますます重要になるでしょう。
結論:民泊市場は“選ばれる物件”だけが生き残る時代へ
供給拡大はチャンスでもあり、淘汰の始まりでもあります。過剰供給エリアでは「どれだけ差別化できるか」が生死を分ける要因となります。需要のある地域・タイミングに絞った戦略的な運営こそが、今後の民泊成功のカギです。
TOCORO.では、リモートで地方の物件の民泊運営をサポートしております。地域の特性に応じた運営戦略の設計、価格調整、マーケティングなど、すべての工程で最適な収益化をご提案いたします。変化の大きい今だからこそ、私たちと共に、安定した民泊経営を目指してみませんか?
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