閑散期を乗り越える鍵は“先読み”にあり──予約動向データの活用術

民泊運営において、避けては通れないのが「閑散期の稼働低下」です。年末年始やゴールデンウィーク、夏休みなどの繁忙期と比べて、2月・6月・11月などの“谷”の期間はどうしても予約数が落ち込みがちです。

しかし、「閑散期は仕方ない」と諦めるのではなく、先手を打って“読み、仕掛ける”ことができれば、収益は安定し、競合と大きな差をつけられます。その鍵となるのが、予約動向データの先読み活用です。

1. リードタイムで“動くタイミング”を見極める

予約から宿泊までの期間＝「リードタイム」は、閑散期と繁忙期で大きく異なります。閑散期は直前予約が多くなる傾向があり、早めに価格を下げすぎて利益を逃してしまうケースも。

TOCORO.では、7日前からの予約動向に注目し、3～5日前に価格調整をかける“直前ブースト施策”を導入しています。焦らず、しかしタイミングを逃さない判断が求められます。

2. 過去データとの比較で“勝ちパターン”を再現

前年同時期や2年前の稼働データと比較し、価格設定やレビュー内容を分析することで、閑散期でも安定した売上を出した「勝ちパターン」が見えてきます。

例えば、価格を2,000円下げたことで急激に稼働が伸びた経験があるなら、その施策を再現できるよう備えておくのです。

3. キャンセル率を見落とさない

予約が入っても、閑散期は特に“気軽な予約・直前キャンセル”が増えがちです。特にインバウンド比率が高い施設では、実際の稼働率と乖離することも。

キャンセル率も踏まえて販売数を調整し、過剰在庫やダブルブッキングを防ぎましょう。

4. 周辺施設との比較で価格の適正を判断

エリア内での価格競争は閑散期ほど顕著です。近隣施設と自分の施設の価格・レビュー・写真・特典内容を比較して、相対的にどう見えるかをチェック。

TOCORO.では、定期的にOTA上で競合分析を行い、価格とレビューのバランスが最適になるよう調整しています。

5. データを“判断材料”として使う

最終的に大切なのは、データを単に眺めるのではなく、「意思決定のための材料」として活用することです。感覚ではなく、構造化された情報から価格や販促を組み立てることが、閑散期を乗り越える最短ルートです。

TOCORO.では、すべての運営施設でリードタイム・稼働率・キャンセル率を日次で可視化し、価格やプロモーションを週単位で最適化しています。データに基づいた運営こそが、安定収益を支える礎です。

「閑散期だから稼働が落ちる」のではなく、「閑散期に備えなかったから稼働が落ちる」。

この差が、1年を通して選ばれる宿になるかどうかを左右します。