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民泊

稼働率“コロナ後最低”の衝撃──大阪万博の陰で起きた6月の失速

稼働率“コロナ後最低”の衝撃──大阪万博の陰で起きた6月の失速

2025年6月、日本全国の民泊市場はコロナ禍後で最も低い稼働率を記録しました。急増する訪日外国人、右肩上がりの観光需要というポジティブな流れの中で、なぜこのような逆風が吹いたのでしょうか。今回はその要因と、宿泊施設として備えるべき対応策をまとめました。


📉 稼働率低迷の4大要因

① 「7月5日大地震デマ」による風評被害

SNSや動画サイトを中心に拡散された「7月に大地震が起きる」との予言情報が、香港・台湾・タイなどアジア圏の観光客層に直撃。特に香港では、訪日客が前年比▲11.2%減少、関空と香港を結ぶ便の1割が運休するなど、具体的な影響も生じました。

② 外国人旅行者の“割高感”と予約抑制

円高基調と円安是正により、訪日旅行の“お得感”が薄れたことで、都市部を中心としたホテル・飲食の価格高騰がSNSでも話題に。レビューサイトでは「日本が高くなりすぎた」という声も増えており、旅行先を韓国・台湾に切り替える層も出ています。

③ 飛行機便の減少と航空事故の影響

6月にインド・アーメダバードで発生した**エア・インディア機墜落事故(死者241名報道)**が、インド発観光客の心理に影響。あわせて一部LCCの減便・運休により、アジア方面からの直行便が減少しました。

④ 万博特需による「大阪一極集中」

2025年の大阪・関西万博に向け、旅行需要が大阪圏に集中する傾向が強まっています。一部の旅行者は「関西圏の旅行を万博の年にまとめて実施しよう」とする“時期の前倒し”により、6月の予約が落ち込んだと考えられます。万博会場周辺の宿泊予約率は逆に上昇傾向にあります。


📈 対策1:「地域特性 × 情報戦略」で“安心”を発信

風評による需要減退は**対外的な「正しい情報の発信」**が鍵になります。

  • 現地の安全性や実際の天候・雰囲気を発信(SNS・OTAレビュー)

  • 地震予言や不安情報に対し、冷静なデータと生活の平常性を見せる

  • インバウンド客の安心を担保する柔軟なキャンセルポリシー

TOCORO.では6月においても価格調整と柔軟な対応により、河口湖エリア平均を上回る稼働率を維持しています。


🛠 対策2:「閑散期向け施策」の再設計

6月のような閑散期は、価格を下げるだけでなく「滞在価値」の再定義が重要です。

  • ロングステイ割引+アクティビティ付きプラン

  • 雨の日限定の室内体験(お香・陶芸・抹茶・DIY)

  • 日本在住外国人向けのプロモーション(中国語・英語SNS広告)

「安いから来る」ではなく、「今だから行きたい」と思わせる理由を丁寧に作ることが肝要です。


✍️ 対策3:「レビュー強化期間」として投資する

低稼働期を「おもてなし強化月間」と位置付け、レビュー評価の向上を狙う戦略が有効です。

  • チェックイン時にウェルカムスイーツやメッセージ

  • 翻訳されたメッセージカードで“伝わる感動”

  • 滞在後のレビュー促進メッセージ(多言語)

特にBooking.comなどの自動レビュー分析アルゴリズムでは、最近の高評価レビューが上位表示に寄与します。


✅ まとめ:観光業の回復は“一直線”ではない

インバウンドは年間4,000万人超のペースで進行中ですが、今回のように**“一過性のショック”が大きな波を作ることも現実**です。万博需要や訪日者の増加に浮かれるのではなく、常に地域単位でのデータと現場感覚のすり合わせが必要です。

TOCORO.では今後も、地域ごとの価格変動・キャンセル傾向に即応しながら、レビューと稼働率を最大化するオペレーション体制でオーナー様と共に安定経営を目指してまいります。


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