column( コラム )
予約減少の真因は「地震のデマ」だけじゃない?──“高価格化するインバウンド観光”の落とし穴

2025年夏、訪日旅行者数は回復傾向にあるにもかかわらず、民泊・ホテルの予約数が一部地域で鈍化しています。特に富士山周辺や京都・大阪・東京などの観光地では、「なぜか今までのように埋まらない」という声もちらほら。7月5日の“地震予言デマ”の影響もさることながら、実はもう一つの深刻な要因が浮かび上がっています。
💰 インバウンド向け“過剰価格化”がもたらす逆風
SNSや口コミを通じて、「日本が安くてお得な旅行先だった時代は終わった」という印象が拡大中です。
一部の飲食店では、インバウンド観光客向けに1杯3000円を超えるラーメンや、2万円を超える和食コースが“話題”になっていますが、それが“炎上”に転じるケースも増えています。
例えば:
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炎天下の富士山五合目でかき氷が2000円
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某観光地での**「外国人だけ価格表」疑惑**
こうした事例がX(旧Twitter)やYouTube、TikTokなどで拡散され、「日本観光=高すぎる」という印象を形成しているのです。
🛏️ 宿泊施設の価格にも“温度差”
観光地のホテルや民泊の価格設定も、旺盛なインバウンド需要に合わせてピーク価格を基準に据える施設が増加しています。ところが、旅行者の期待値とのギャップが生じています。
実際、Pricelabsなどのデータでも以下のような傾向が確認できます:
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河口湖エリアの平均宿泊料金(ADR)は1泊26,000円〜32,000円
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一方で平均稼働率は75%→73%に減少
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「価格を上げても泊まるだろう」という前提が崩れ始めている
🌏 “物価感覚のズレ”に気づいているか?
現在、アジア諸国を中心に物価上昇の波が日本ほど急ではない国も多いため、外国人旅行者の「日本は安い」という印象は年々薄れています。特に東南アジアや中国の若年層は、日本の“安さ”よりも**「質」と「価値」を慎重に見極める層**へと変化しています。
価格に見合う体験や価値提供がなければ、価格に敏感な観光客は他国を選ぶ──その現実が、じわじわと数字に現れ始めているのかもしれません。
✅ 地元目線とグローバル視点のバランスを
もちろん、すべてを値下げするべきではありません。価値ある体験には対価が必要です。ただし、「外国人ならこれくらい払うだろう」という感覚が、知らぬ間に観光の質を下げ、リピーターを遠ざけている可能性があります。
TOCORO.では、こうした価格変動に対して地域の物価感覚や旅行者のレビュー内容を分析し、価格設定を週単位で柔軟に調整。地域全体の稼働率が落ちている中でも、比較的高い稼働率を維持しています。
✈️ まとめ:「高くても来る」は幻想になる可能性も
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地震デマに加え、“観光価格のインフレ”が予約低迷の一因になっている可能性
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外国人観光客は“お得感”や“体験の価値”に敏感
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安さより「納得感」が求められる時代へ
今こそ、価格をただ上げるのではなく、旅行者の期待をどう超えるかを見直す時期に来ているのかもしれません。
このたび、株式会社TOCORO.代表取締役の田辺大地が、TOKYO MXの地上波番組「企業家たちの挑戦ストーリー」に出演いたしました。
番組内では、創業に至る経緯や、地域とともに成長する企業を目指すTOCORO.のビジョンについて語らせていただきました。また、河口湖での実際の民泊の売上実績なども紹介させて頂きました。
放送をご覧いただいた皆さま、そして日頃から応援してくださる皆さまに、心より感謝申し上げます。
今後も、河口湖から世界に向けて魅力を発信し続けてまいりますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。
また、本番組の内容は、TOKYO MX公式YouTubeチャンネル「企業家たちの挑戦ストーリー」でもご覧いただけます。
放送を見逃した方や、改めてご覧になりたい方は、ぜひこちらからご視聴ください。
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