column( コラム )
円高進行が民泊業界に与える影響とは?──為替と観光の微妙なバランス

2025年4月、米中間の貿易摩擦激化を背景に、為替市場では円が一時1ドル=142円台まで上昇。これは2024年9月以来の円高水準となり、外国為替市場に大きな変動をもたらしました。特に注目されるのは、米中両国による高関税の応酬と、アメリカの消費者物価指数(CPI)の鈍化によるドル売り圧力が重なったことで、ドルが売られ、円が買われやすくなっているという点です。
円高という為替の変動は、輸出企業や投資家だけでなく、観光業、そして民泊業界にも少なからぬ影響を与えます。本コラムでは、為替相場の動向がどのように民泊事業に波及するかを考察します。
円高はインバウンドの“見えないハードル”に
円高は一見、日本人にとっては「海外旅行がお得」になる良いニュースですが、外国人旅行者にとっては「日本旅行が割高になる」という意味合いを持ちます。
- 1ドル=150円と比べて、1ドル=142円では、同じ価格でも現地通貨での負担が増加
- 宿泊費、食費、交通費すべてが“高く感じられる”
この心理的ハードルにより、円高が進行する局面では、訪日外国人観光客(インバウンド)の動きが鈍る傾向があります。
特に、アジア圏からの観光客にとっては、為替変動が旅費全体に与える影響が大きく、民泊の価格が現地通貨換算で高くなりすぎると、選ばれにくくなる可能性もあります。
民泊運営者が取るべき対応策
円高局面においても収益を安定させるためには、以下のような対策が求められます。
① 国内旅行者へのシフト対応
訪日外国人の動きが鈍くなる分、国内需要にフォーカスした集客プランを強化することが重要です。
- 地元観光と連動した体験型プラン
- リピーターを狙ったキャンペーン
- 平日や直前予約割引の導入
② 多言語対応と価格表示の柔軟性
為替変動に応じた価格設定や、
- 通貨表示の最適化(現地通貨でのイメージが伝わる)
- OTA上でのプロモーション強化 が重要になります。
③ “価値”の訴求で価格を超える
価格競争ではなく、
- 清潔感や立地の良さ
- 文化体験やホスピタリティ
- 長期滞在向けの設備 など“体験の質”で選ばれる施設づくりが必要です。
まとめ:為替に左右されない民泊経営を目指す
円高はインバウンド需要にブレーキをかける可能性がありますが、それは裏を返せば「国内需要をどう掘り起こすか」「外国人に選ばれる魅力をどう高めるか」が問われるチャンスでもあります。
TOCORO.では、為替動向に応じた価格設計や販路調整、国内・海外双方に通じるブランディングを通じて、為替リスクを抑えた安定的な運営体制を構築しています。
今後も世界情勢や市場の変化を注視しながら、柔軟な対応をしていくことが、民泊経営の鍵となるでしょう。
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