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民泊

世界3位に選ばれたのに?──山口市に見る“注目”と“来訪”のギャップ

世界3位に選ばれたのに?──山口市に見る“注目”と“来訪”のギャップ

2024年、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき世界の旅行先52選」。その中で、日本の山口市が堂々の第3位に選出され、大きな話題となりました。歴史的な街並みや静かな雰囲気、人情味ある地元の人々の魅力が高く評価され、「西の京」とも称される文化都市に世界中の注目が集まりました。


期待と現実のギャップ──インバウンドは限定的

ところが、その注目度とは裏腹に、宿泊施設でのインバウンド利用はわずか5%にとどまりました。欧米からの宿泊客に限れば、宿泊者全体の0.5%未満という結果に。話題性は十分だったものの、実際の訪問者数にはつながらなかったのです。

湯田温泉の旅館協同組合によると、現在も95%以上の宿泊客が国内客で構成されており、インバウンドによる“特需”とは無縁の状況が続いています。


アクセスの悪さと準備不足が要因に

観光関係者が口を揃えて指摘するのは、「アクセスの課題」です。山口宇部空港から市内中心部への直通アクセスがなく、新山口駅からも1時間に1本程度のJR山口線に乗り換える必要があることから、効率を重視する外国人観光客にとって選ばれにくい目的地となってしまっています。

さらに、人手不足や語学対応の課題もあり、宿泊施設側のインバウンド対応に消極的なケースが見受けられたことも大きな要因の一つです。


盛岡市に見る成功モデル

一方で、2023年に同じリストで「世界第2位」に選ばれた盛岡市では、前年比10倍のインバウンドを誘致することに成功しました。

成功の背景には、民間飲食店オーナーを中心とした積極的なプロモーションと、行政との連携がありました。また、新幹線でダイレクトにアクセスできる交通利便性も後押ししました。


山口市のこれから──観光価値を引き出すには?

山口市には、瑠璃光寺五重塔や湯田温泉、SLやまぐち号といった豊富な観光資源があり、「静かな日本」を体感できる貴重な場所です。今後、インバウンド対応を強化するためには以下のような施策が有効でしょう:

  • ライドシェアの導入やアクセス改善による移動手段の強化
  • 多言語対応や接客面での外国人対応の整備
  • 海外OTAやSNSを活用した情報発信の強化
  • 地元住民とのふれあいが感じられる体験コンテンツの開発

真の価値は「自信と再発見」

今回のNYT選出をきっかけに、多くの市民が自らの街の魅力を再確認しました。注目をきっかけに地元が元気を取り戻し、長期的には観光振興につながる可能性を秘めています。

直接的な数字に結びつくことが全てではありません。「自信」と「再発見」こそが、持続的な観光まちづくりの第一歩になるはずです。


次の注目都市になるのは、地方に眠るあなたの街かもしれません。今こそ、“受け入れる準備”を始めましょう。

なお、TOCORO.ではリモートで地方の物件の民泊運営のお手伝いも行っております。地元にいなくてもスムーズな運営をサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 


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